ユニークさと明るさを兼ね備えた女性は、人生で何回か出会っている。だいたい突然やってくることが多い。同じ箱根ではあるのだが、もうすこし芦ノ湖のほうに足を延ばし、ペンションのようなところに泊まった。少し埃っぽかったのではないか。おそらく景気が良いときに建築されて、近年リニューアルしたのであろうその室内で、ところどころの隅っこのペンキが剥げているのをみて思った。作ってきたという手料理を堪能しワインを飲んで、白濁した仙石原の温泉を引いているようなのだが、硫黄の匂いが肌にしみこむほど浸かった。温泉とワインのマリアージュというのは考えてなかったが、辛口の白ワインには透明の熱い温泉、もしくは硫黄の白濁した温泉、重たい赤ワインにはぬるめの透明なお湯、もしくはとろみの強い温泉が合うのではないかと思っている。すっかり細胞にまわったアルコールと水分やミネラルが、肌という枠をなくし、呼吸しているような感覚になる。

少し古いタイプのロマンスカーの展望席が取れて乗った際の、昭和の装飾品がゆれているのを眺めていた。