池袋から電車で10分ほどの私鉄の駅から改札をでるとすぐある商店街を抜けて右へ。回り込んであるやや古めのマンションに引っ越し先をきめたその女性は、契約と引っ越しの合間に私を呼んでくれた。床が絨毯の部分があり、清潔感はあるのだが時間の積み重ねを匂わす床をベッドにした。

木目調のラックと間接照明を設置したダイニングで仕事帰りに泊まった際に作ってくれたさんまの煮ものを、半楕円型の机と、その柔らかな室内灯のもと缶ビールを飲みながらつまんだ。とてもセンスのある合理的なひとで、とても歩くのが速かった。人間力はあるのだが、付き合う側がある程度鈍感じゃないと、ひしひしと推察眼を向けられている浸透力の強さが、急に熱いお湯につかったときみたいに末梢をひりひりさせる。やさしさによりかかりたいからとあえて鈍感になりながら、生理の終わりかけに避妊をしなかった性行為ののち、しばらくたって妊娠しないねやっぱりと、けろっと言われたときに、凄みを感じたが、血と白い精子の混ざったものをふきとる彼女を思い出すと、ああと腑に落ちた。