重たいどっしりとした湿度と、粒子の細かな熱に包まれる梅雨の朝。

太陽光は雲によってとらえどこのない輪郭をし、認識を阻む。

いつもより40分早くでて、6時台からまた例の遊郭内にあるマンションの最上階に、会いに行く。コーヒーを飲んで眠いながらに汗をじっとりとかいていて、週末ということも会ったのだと思うが、意識がすこし遠くにいる。

淡い青色、すこし紫。そういう色のソファと、同じく淡いピンクと緑のそれぞれのソファ。三つそれぞれの色を買ってしまうところが彼女らしいなあと寄りかかってバナナをほおばっていた。すこし熟れているようにみえるバナナの色が、彼女の日焼けし始めた頬から漂っているような錯覚をさせる。音もなくしっとりと、かつ舌はそれを奥へ奥へと咀嚼させ、度に香る甘みのあるバナナ匂と、すこし焙煎の深いコーヒーを入れていたためにとても心地よかった。となりにみずみずしいグレープフルーツもあったのだが、さほど主張してこない。耳の後ろあたりから柔らかく香る眠たさと、柔らかい皺に綿密な意識を、眠気が強いことをいいことにうつつと満ちていくスープをつくっていく時間に連想した。