東京の下町から埼玉方面にはしる鉄道をともに使っていたため、その路線上の私鉄の駅で会っていた女性がいた。会話をするときの内容や話すリズムが独特で、おそらくイメージをつなぎながら話しているのが、それはそれで楽しかった。同業者でもあったために一度職場を紹介されて、第3者を交えた食事があった。高級なお肉を出す焼肉屋で、二人の関係性を客観的な言葉にもしていないなかどう紹介されるのかと、まるで向こうの両親に会いに行くような緊張を覚えている。で、さて思い出せないのはどういう関係性かに対する答えだったが、聞かれたと思うのだが、うまく思い出せない。緊張感のない季節、おそらく春先だったか、複々線の高架下の道を駅から南下していくと、おそらく急行のとまらない駅ゆえに一件しかないホテルの一室で、わきの下にあるほくろと、それを隠すくらいの長さの、明るく染めたゆれる髪の輝きがあった。