東中野の駅で待ち合わせ、それも線路沿いにやや下ったところにあるホテルに行った彼女も独特のリズムがあった。その頃はただそういう行為がしたかっただけかもしれない。それを受け入れてくれる彼女のリズムは、とてもゆっくりとねっとりとした迂回しながらの会話と動きに、意識はおもわずつまずく。同世代の女子の模倣をしている部分と、自らのそのリズムが混在しているために、こちらの会話をしながらできるイメージを壊していかないと中身にたどり着けないことが多かった。それから8年後、栃木に勤務している彼女と在来線のグリーン車にのり帰った。懐かしくなるような模倣のような話し方は相変わらずで、すぎる窓の外の明かりのリズムに気持ちをごまかした。そのようなことなので内容はそっけないことで、本質的な部分には触れることができなかったが、当時の記憶からいくつか抜けていた部分を相手は覚えていたため、別れた後にひとり、反芻しながら過去をつなげていた。