2021-07-19から1日間の記事一覧

池袋から電車で10分ほどの私鉄の駅から改札をでるとすぐある商店街を抜けて右へ。回り込んであるやや古めのマンションに引っ越し先をきめたその女性は、契約と引っ越しの合間に私を呼んでくれた。床が絨毯の部分があり、清潔感はあるのだが時間の積み重ね…

白いマンションで夜の匂いと赤ワインで疲労感が麻痺してきたときに、それでもやはり会いたいと矢継ぎ早に地下鉄に乗り、もう22時だが空いているお店を探して出張帰りの違う女性に会い、餃子を食べた。もう赤ワインの香りは品をなくし、ハイボールでのど越し…

旧来、遊郭だった街であるため、建物は変われども道幅は目抜き通りそのもの。よくみると屋号はアパートの名前として生き残っており、重たい黒い油のようなものをイメージさせる雰囲気が、目抜き通りから曲がると感じた。まっすぐ進み、その遊郭から一歩出た…

コーヒーにするか紅茶にするか、たとえば日常では選んで決定する行為の積み重ねかもしれない。それをリズムとしてとらえるのならば、独特のリズムを持っているのであろうか。新築の白い部屋を好んで探したということを話していた。食事も、片づけるときのこ…

意識しているわけではないが、ものすごく言葉に対して感受性が高いことが多い。そして動作や表情から感じ取ってしまうことがあり、気持ちはそれに連動してしまう。繊細な皺を埋めていくパウダーが、しっとりとした質感を生み出す夕方に、車の排気ガスや緑の…

住宅展示場で案内をしている、いわゆる制服をきた30代後半の女性は、当時まだわたしが20代前半だったこともあってだいぶ年上に思えた。赤羽の赤ちょうちんでだいぶ酔って、モノクロのトーンのビジネスホテルに泊まったのを覚えている。酔っているテンション…

若いときに渋谷のギャラリーを借りて、オーナーの堅物を口説いていいことに、渋谷川の壁に立つその画廊は、比較的自由に使える場所だった。本当に我儘ばかり。埼玉県の南に一人暮らししていた香水がいくつもあってたしかメゾネットタイプだったか。ただメゾ…

ユニークさと明るさを兼ね備えた女性は、人生で何回か出会っている。だいたい突然やってくることが多い。同じ箱根ではあるのだが、もうすこし芦ノ湖のほうに足を延ばし、ペンションのようなところに泊まった。少し埃っぽかったのではないか。おそらく景気が…

どこか単に女性として好きな部分を、男子高で彼女に思っていたのは事実だった。彼女をひととして好きな部分をそのあとの関係性で見つけて、部分にのせて熟成させていく過程は、心地よいもので、繊細さと優しさで受け止めては咀嚼していく過程が、結局彼女と…

男子校でなかなか群れることができなかった。表面上ではみなと仲良くしているつもりだったが、つるむことが苦手で、なにより運動神経がよくなかったことがマイナスになり、だいたい一人だった。写真部の暗室が住処だったといっても過言ではない。そんななか…

正義を振りかざすことに快感を覚えているこの世の中には、実は、不便な事柄を解消し、便利になることで生じる副産物が多く漂っているのではないかと考えている。便利さと引き換えに奪われるのは思考。他人をどうとらえるか。インターネットや電話はまずその…

母であることを感じたことはない。どちらかというとしっとりとした印象を感じる女性がいる。じぶんが優しすぎてしまうことで、それを消極的であるならば、のどにつっかかっているような、意志がうまく伝わらないもどかしさ。 らしさ。という言葉を使うと、受…

前日に飲みすぎた後の、二日酔いではなく疲労感を開き直りながら感じていたが、こりずに帰りにはまたビールを飲んでいたように思う。 疲労感と一杯のビールがつくりだすだるさは、昨晩のやわらかい皺を思い出すとまどろみを思えた。視界でおさえる現実に、舌…

そう。感染症がとても流行ったために、外出もままならないのはわかっているのだが、4月初旬に目抜き通りの一本奥の道の交差点で、なんとなく風に吹かれて女性を待った。多少の罪悪感があったのだと思うが、意を決してお店を探すもなかなか断られ、近くの窓の…